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天国はまだ遠くのペンのレビュー・感想・評価

天国はまだ遠く(2008年製作の映画)
5.0
隠れた名作のひとつ。京都府宮津市の美しい自然の中で描かれる人生の休息と心の再生の物語。

自殺というワードから暗い話かと思われそうだが、まったくそんなことはなく、笑いと優しさに溢れたヒューマンドラマだ。

なんといっても、この作品はキャストが素晴らしい。加藤ローサ演じる千鶴は、現代社会においてまさに等身大の存在。仕事や人間関係が上手くいかず生きづらさを感じている姿には、女性だけでなく男性も共感できるはず。
また、民宿の青年・田村は、無骨でも大きな優しさで千鶴を癒す存在でありながら、自らも悲しい過去があり心に傷を持っているという難しい役どころだが、チュートリアルの徳井義実が見事に演じきっている。鑑賞中、誰もが彼がお笑い芸人であることを忘れてしまうはずだ。

また、宮津の秋の景色も必見。美しい自然を堪能できるのもこの映画の魅力だ。
そして、食事シーンも見どころだ。特に千鶴が民宿で最初に食べる朝食のシーンは食欲を刺激されるほどの名シーン。

すべての人にお奨めできる作品だが、今つらい気持ちを抱えている人や心の病気に悩む人には特に観ていただきたい。
私もつらい時に何度もこの作品に救われた一人だ。
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