エイデン

老人Zのエイデンのレビュー・感想・評価

老人Z(1991年製作の映画)
-
高度高年齢化社会に突入した日本
厚生省では、再重点福祉事業として“みんなで築く明るい長寿社会計画”を掲げ、心臓病を患った独居老人へのペンダント式無線発信機の配布や、老人医療機関“光の家”の設置などの取り組みを実施
しかし高齢者の増加に対して人手不足や設備の老朽化もあり、実質的に空疎化してしまっていた
このままでは追加予算の獲得もままならず厚生省の面目は立たないこともあり、官僚の寺田は起死回生の画期的なプロジェクトを立ち上げる
一方 愛する妻ハルを亡くした寝たきりの独居老人である高沢は、尿漏れをしてしまい無線発信機を押す
それに気付いた“芙蓉看護学院”の実習生で高沢の元で介護ボランティアをしている晴子は、バイトを抜け出して高沢の元で家事手伝いを行う
するとそこへ寺田が病院スタッフらと突如として訪問
厚生省の新事業のモニターとして選ばれたと、寺田は拉致同然に高沢を連れて行ってしまうのだった
訳の分からないままの晴子だったが、後日 学校で高沢がモニターに選ばれていた新事業の発表会が行われるという噂を聞きつけ、会場へと向かうことに
会場で寺田は、総合商社“西橋商事”の強力で開発した最新鋭介護ベッド“Z-001号”について発表する
Z-001号はコンピューターにより全自動で入浴や排泄といった全介助が可能で、テレビや電話、様々な娯楽にも対応し、コンピューターを介してメッセージのやり取りも可能、更には食事や運動も全自動で行ってくれるという、画期的な次世代の老人医療装置だった
その秘密は自ら成長、改良し発展する“第6世代コンピューター”を内蔵していることにあり、超小型の原子炉によって動くという仕組み
あらゆる災害にも放射能漏れにも危険性は無いと語る寺沢の言葉に記者たちも納得の様子だったが、そこへやって来た晴子は「愛が感じられない」と野次を飛ばす
しかし寺田はその意見を一蹴し、Z-001号は厚生大臣にも受け入れられるのだった
後日 学校にいた晴子は、自分のパソコン宛てに「HARUKO」というメッセージが延々と流れてきていることを知る
それだけでなく、辺りのパソコンは一斉に晴子へ助けを求めるメッセージで埋め尽くされ、それがZ-001号を使った高沢からのSOSだと気付くのだった
晴子は友人の信子、知枝、満と共に、厚生省へ高沢を助けに向かうが、暴走するZ-001号は進化を続けており事態は予想を超えた方向へと進んでいく



老人問題をテーマにしたSFコメディアニメ映画

高齢化社会が社会問題として取り上げられ、それに合わせて独居老人問題、介護問題がいよいよ顕在化した時代の作品
そんな社会問題をテーマとしつつもしっかり笑えるコメディ要素も満載でエンタメとして楽しめる映画になってる

それを成したのが『AKIRA』で有名な大友克洋なんだけど、脚本だけでなくメカニックデザインも担当していて、かなり性癖が出まくってるのも見どころ
ちなみにキャラクターデザインは江口寿史
女性キャラが可愛いぞ

介護が必要な高齢者が多いからと、機械のようにシステマティックに介護をすることは正しいのか、人の温もりが必要ではないかという課題提起から、全自動介護ロボの暴走という突飛なストーリーを生み出した発想力は凄まじい
全編勢いそのままに楽しめるし、ラストの展開もほっこりしてて好き
非常に良くできたエンタメ作なのでオススメ
エイデン

エイデン