りふぃ

老人Zのりふぃのネタバレレビュー・内容・結末

老人Z(1991年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1991年当時にこのアイデアを思い付くのだから、大友克洋は紛れもない天才。

汎用型介護ロボットとかそろそろ登場してもおかしくないし、そのデータを兵器開発に転用するとかも本当にありそう。
特にきな臭い昨今だと尚更。

終始、「おじいちゃん」やその死んだ伴侶が海を目指していたことについて、どう解釈すればいいのだろう。
単に思い出の海だから最期に一目見たかったという理解で本当によいのだろうか。

私はというと、トリュフォー『大人は判ってくれない』が頭にチラついており、海であることに何か意味がある気がしてならない(これが山だと全然違う意味になる気がする)。

海は生命の始まりや解放、異界、死、残虐さなど様々なものを象徴する。
死にかけの「おじいちゃん」が海を切望するのは、古い時代の幕切れと新たな時代の幕開けを予期しているからではないか。
そう考えると劇中で破壊の限りが尽くされるのも納得がいく。
創造と破壊は切っても切り離せないからだ。

これはあくまでも私の独り言だが、他の方々の解釈を聞いてみるのも楽しそう。

最後に、美術監督に私の激推し、今敏が出てきて感動。
複雑なメカがぬるぬる動いているのを見て、「『パプリカ』の奇妙な行列もこんな感じだったなあ」と思っていた私、大正解◎
本当にあの場面を担当していたのかは知らないけれど、そう思っておこうと思う。
りふぃ

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