阿房門王仁太郎

アンドロメダ…の阿房門王仁太郎のレビュー・感想・評価

アンドロメダ…(1971年製作の映画)
4.5
 監督が同じ『地球の静止する日』に感動して見たのだが、やっぱりワイズの映画のあの自然な感覚、取り立てて感情移入を迫り勝利を語る主人公不在(詰まり脇役に追いやられたままの人間も極めて少ない)の群像劇的性質は面白い。映らない時でも存在を暗示しあう執務室・研究室・村の三場面がある病原体で連携しあったと思ったら、それは実は軍事的陰謀により予め三位一体に結び付いていた構図は恰もアンドロメダ結晶体の構造のようである。そしてその構図であらゆる難事を消化していくがそれが果たして不滅で常勝の存在なのだろうか…実際、アンドロメダ病原体に対処できたのは政府の及び腰の態度や偶然の結果に他ならない。
その構造の中の分子(個人)が構造に規定され(その表現としての訳の分からない所内放送の演出は絶妙)ながら、躍進して構造を進化させようとする様は対細菌へのアプローチに限らず社会的な群像劇として本当に素晴らしい。構造と個人の密接な関わりを堅実な美的映像で映した名作
阿房門王仁太郎

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