クシーくん

アンドロメダ…のクシーくんのネタバレレビュー・内容・結末

アンドロメダ…(1971年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

ジュラシック・パークの原作・脚本を手掛けたマイケル・クライトン初期の佳作「アンドロメダ病原体」の映画化。タイトル的にスペースオペラを予想していたのだが、全然違ってパンデミック系だった。SFには違いないが。原作はドキュメンタリー風に書かれているらしいが、本作もややモキュメンタリーな雰囲気がある。

計器類やタイプライターがカタカタ鳴る不気味なOPから、着陸した衛星を回収するために小さな田舎町にやってきた軍人達が殆どの住民が死に絶えている所を発見する導入まで掴みはバッチリ。
衛星に乗ってやって来た未知の病原体に一流の科学者チームが立ち向かうSFスリラー。

突然死したようにバタバタ倒れている住民も怖いが、個人的には錯乱状態で自殺したことを匂わせる老夫婦が一番の恐怖感を煽られる。

病原体を発見してからはトライ&エラーを繰り返す科学者奮闘記になってしまい、なんか映画のジャンルが明らかに変わったな......と思いきや緊急事態が発生して再びスリラー的恐怖に引き戻される。この緩急が上手い。

淡々とした作風に合わせているのか、俳優達の演技も背景のように地味。配役もやや地味め。ポーラ・ケリー演じる女性科学者の、元娼婦でやさぐれ病弱設定とか謎過ぎる。要らなくない?
アル中爺さんと若い医者達の掛け合いが唯一の癒し。アル中爺さんの場違いぶりは萌えキャラ感すらある。

見所はなんと言っても研究施設に主人公の科学者チームが入館するために行われる消毒シークエンスだろう。当時の知識と想像し得る最新技術を駆使したシステムが出てきて、とっても懐かしフューチャー感がある。階層で壁と服装の配色が変わってオシャレ。

私は全くの素人なので、当時の実際の技術と照らし合わせた上で、どの程度事実に忠実なのかは分からないが、米軍の協力に感謝云々と言っているのである程度事実に則した描写なのだろう、多分(単なるハッタリの可能性も否めないが)。
この高密度な科学描写を面白がれるかどうかが評価の分れ目だろう。私は正直途中から眠くなった。だってあまりに長すぎるんだもん。

常に緊張感が漂う硬派な作品なのだが、16時間も費やす衛生管理を行う施設な割には連絡係がアホ、核発射システムが思いっきり杜撰で自ら危機に陥るなど、ちょいちょい緩めのギャグが提供される。
クシーくん

クシーくん