ロバート・ワイズという人は、「サウンド・オブ・ミュージック」や「ウエスト・サイド物語」といった名作ミュージカルを生み出した巨匠でありながら、一方では様々なジャンルの映画に積極的に挑戦した監督でもあります。そして本作は「ジュラシック・パーク」のマイケル・クライトン原作によるSF映画。宇宙からの病原体という未知の災厄に立ち向かう科学者たちの戦いが、まるでドキュメンタリーのように淡々と描かれるのですが、それがいつのまにか手に汗握るサスペンスへと転じていくのです。限られた研究施設内で展開される室内劇は異様な緊迫感を生み、それがクライマックスの伏線となる構成も見事！今観ると古さは否めませんし、キャストも含めて地味な映画ではありますが、ハリウッドを代表する名匠が創り上げたハードなSFサスペンス、丹念に仕上げられた匠の技を味わうのも楽しいと思います。
