イチロヲ

竜馬暗殺のイチロヲのレビュー・感想・評価

竜馬暗殺(1974年製作の映画)
4.0
京都にて隠遁生活を続けている坂本龍馬(原田芳雄)が、新選組隊士と密会している女性(中川梨絵)を横恋慕してしまう。暗殺が決行されるまでの日常を描いている、ヒューマン・コメディ。完全なるフィクションとなっている。

16mmモノクロフィルムの採用により、ザラついた感じの独特の映像世界を拵えている。手ブレしまくりのカメラワークと禍々しい音楽が相乗効果を上げており、その時代にカメラを持ち込んだような、ドキュメンタリー性が際立っている。

本編ドラマでは、坂本龍馬の奇人変人ぶりをフィーチャー。独特のレトリックで自惚れと卑下を繰り返しながら、隠れ部屋から屋根伝いに女を訪ねて行ったり、顔面白塗りで女装して「ええぢゃないか運動」に紛れ込んだりする。

密偵との友情ドラマにも変化球が付けられており、石橋蓮司&松田優作と一緒に女装ブラザーズを結成するくだりが印象鮮烈。役者力に物を言わせながら、グイグイと牽引させていく、アイデア一発勝負の逸品。
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