エイデン

ヒルコ 妖怪ハンターのエイデンのレビュー・感想・評価

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)
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かつては新進と謳われながらも、妖怪は実在するという突拍子もない学説で学会を追われた考古学者の稗田礼二郎は、細々と古代遺跡の発掘に携わりながら日々を過ごしていた
そんなある日、亡くなった妻 茜の兄で中学教師をしている八部から奇妙な手紙を受け取る
彼によれば学校で新たな古墳が発見されたが、それは通説通りの墓ではなく古代人が悪霊を鎮めるために建てたと考えられ、稗田の学説を立証する証拠となる可能性を語っていた
その頃 古墳内の石室を探索していた八部は、追いかけてきた教え子の月島と共に何かに襲われ行方不明となってしまう
八部の息子である高校生の まさおは、父親と密かに想いを寄せる月島が行方不明となったと知り、夏休み中にも関わらず友人の青井と片桐を誘い学校へ訪れていた
まさおは父 八部が、自分達の通う学校のどこかに古墳があると信じていたことを思い出し、消えた2人がそこにいるのではないかと考えていたのだ
とはいえ何の手がかりも無く、当てもなく彷徨っていた3人の前に、突如として用務員の渡辺が現れ、こっ酷く注意される
その様子がおかしかったことに気付いた3人は後を追うが、その先には消えたはずの月島の姿があった
あっけない解決に肩透かしを食らった3人が月島を眺めていると、そこへ同級生の河野が近づき唐突にキスを迫る
その様子に気分を害したまさおは、足早に立ち去ろうとするが、突如として背中に出来た痣が発熱し激痛が走るのだった
一方 八部家を訪れた稗田は、茜の死は自分に責任があると考える義母に厳しい目を向けられながらも、八部が月島と共に消えたことや、その際 家に代々伝わる“3つの角の冠”を持ち出したことを聞く
義母は踏み込んではいけないことに踏み込んだのだと、“比留子(ヒルコ)”という存在へ赦しを乞うていた
八部の足跡を辿り学校へ赴いた稗田は、かねてより研究していた妖怪の探知器が初めて反応を示したことに気付く
やがて稗田とまさおは、学校に潜んでいた妖怪と対峙することとなり・・・



諸星大二郎の漫画『妖怪ハンター』シリーズの実写化作品
シリーズから『黒い探求者』をベースに、秘密が隠された学園を舞台とした妖怪ヒルコとの攻防が描かれる

おどろおどろしいヒルコの映像に、例に漏れずトラウマを植え付けられた人も多そうな映画
『鉄男』でセンセーショナルなデビューを飾った塚本晋也監督による奇々怪々な演出に加えて、稗田とまさおのバディによる友情や成長といった要素も強く映し出されていて、単なるホラージャンルに留まらない

前面に出てはいないけど、友情・努力・勝利な王道作風が根底にあるので観やすい
そうした王道展開にありがちな、立ちはだかる壁としてヒルコなどの怪異があるわけだけど、稗田もまさおも恋人(妻)を喪う悲劇があるのも注目してほしい
既に妻に先立たれた稗田と、消えた想い人月島を探すまさおという2人が、今回の事件に立ち向かい、精神的な成長へと繋がっていくのは、まさしく王道っぽいし、脚本として上手い

個人的には大好きな作品だけど、原作のイメージからはかけ離れた脚色の上で出来上がった作品なので、原作ファンからの評価は厳しめ
映画ファンからはカルト的な評価のある作品だし、一種の漫画原作実写映画の成功例だとは思ってるのでオススメ
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