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ヒルコ 妖怪ハンターのmitakosamaのレビュー・感想・評価

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)
2.8
当時、なんかのホビー誌でメイキング写真があって、それを良く覚えてる。
逆に映画本編はあまり覚えてなかった。

監督は塚本晋也。今になって見直すと、従来の特撮映画の文脈とはやっぱり違う。
円谷などの作り方と違うんだよね。当時としては新世代の特撮、という定義だったんだろうな、と思う。

生首に蜘蛛の足の生えたようなヒルコの動き、ストップモーションアニメで作ってる。日本の主流である、着ぐるみやギニョールや釣り人形などとは違う。
ヒルコ目線のカメラアングル、血飛沫の飛び交うスプラッタ描写。
目指してるのが当時の日本特撮の伝統芸じゃなく、ハリウッドの手法なんだよね。
実際にヒルコは遊星からの物体Xそのまんまだし。
国内の特撮畠で育たなかった塚本晋也ならではだと思う。

原作は諸星大二郎の漫画。主演の稗田礼二郎にジュリー、沢田研二。

考古学者の八田(竹中直人)が学校にある古墳から妖怪ヒルコを呼び覚ましちゃう。
それでオカルトで学会を干されてた稗田がやって来る。八田の息子(工藤夕貴の弟)と校内を探りヒルコの再封印を目指す。

イザナミとイザナギに産み捨てられた不浄の子供・蛭子(ヒルコ)なので、古事記の引用などを多く用いてる。こういうところは楽しい。

ヒルコもガシャガシャ襲ってきて怖いが、用務員役の室田日出男も怖い。稗田らが怯えながら対峙して、殺虫剤を振りまきながら戦う。ホラーとコメディとファンタジーのいい塩梅の融合。

人もガンガン死ぬ。一晩で学生が何人も死んでるのに、ヒルコを封印した翌朝に田園を抜けて爽やかにジュリーが帰って行くんだなぁ。
何か?この世界は人が死んでも警察は何もしないのか?
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