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ヒルコ 妖怪ハンターのRのネタバレレビュー・内容・結末

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

車内で友人2人と。

1991年の邦画。

監督は「野火」の塚本晋也。

あらすじ

異端の考古学者、碑田(沢田研二「土を喰らう十二か月」)は義兄の八部(竹中直人「零落」)から古代人が悪霊を鎮めるために造った古墳を見つけたという手紙を受け取る。その後、消息を途絶えた八部の後を追い、碑田は八部の息子まさお(工藤正貴「部屋とワイシャツとわたし」)と共に悍ましい魔物と対峙することになる。

幼少期に鮮烈に記憶に残っている写真があって、それが今作で出てくる悍ましい魔物だとわかったのがつい最近。

で、やっぱそうなると気になるもので、観るのはトラウマを呼び起こされそうで怖いから写真で検索して色々と興味欲求を満たしていたんだけど、友だちと何観るかって話になって、一緒に観る友だちがいるから、えぇーい観たれ!と思って遂に鑑賞。

いやぁ…なんか物凄い変な映画でした。

お話はあらすじの通り、所謂「モンスターハンターもの」と言えばいいか。でも、アメリカだと「ヴァン・ヘルシング」とか「ゴースト・バスターズ」とか色々昔からあるけど、それを90年代初頭に和製でやっちゃうってんだから流石「鉄男」の監督でもある塚本晋也、すごい。

で、今回のモンスターは「ヒルコ様」っていう民俗学的神話を反映したような化け物なんだけど、本体はなんかゴジラに出てきそうな蛇と人間の頭部と蜘蛛が合体したような悍ましい感じ。ただ、その真骨頂は襲った人間の頭部を取り込んでしまう点。それによって、今作ではヒロインである月島令子(上野めぐみ)、まさおの父親の八部、友人である片桐(佐野智郎)や青井(塚原靖章)までもその犠牲になってしまう。

で、その取り込んだ人間たちが「ヒルコ化」しちゃうんだけど、そのルックが物凄い。

完全に死人と化したようか青っ白い頭部にそのままヒルコの蜘蛛のような醜悪なながーい足がくっついてシャカシャカと動き回る。

まぁ、まんま「遊星からの物体X」の「あいつ」丸パクリと言っちゃえばそれまでなんだけど、こちらは同じ日本人であること、それまでは牧歌的な田舎で同じように暮らし、日々を過ごしてきた友人だったり、家族だったりするから、余計悲惨というか、観ていて惨たらしい。

しかも、こういうのに、のっけから主人公のヒロインポジを退場させて、モンスター化させちゃうって発想もまた新しいのよね。しかも、月島ヒルコが生前のアイドル的な煌びやかさはかけらのない、まるで、ざん切り頭の日本人形みたいな感じで恐ろしい。

もう彼女が劇中何度も印象的に歌う「金の糸がそよぐ〜♪優し優しい調べ〜♪」のイントロのメロディが流れるとゾクッとしてしまう。

まぁ、お話的にはモンスター退治ものとしても、かなりエクストリームで勢い先行型な作りであって、とにかく主人公のジュリーとまさおがギャーギャー騒ぎまくる。そんでチェンソー振り回したり、荷車で窓に突っ込んだり、上裸で王冠かぶって古来の呪文を唱えたりとなんかその退治の仕方も物凄い。

あと、終盤の展開。それまで何度も登場していた月島ヒルコに加えて、物凄い顔芸の竹中直人演じる八部のヒルコ化、そして終盤での「かつて人だった無数の犠牲者たちが阿鼻叫喚の中でワラワラと押し寄せてくる様ともちろん怖くもあるけど、一度観たら忘れられない衝撃映像の連続。

で、またラストも凄くて、ヒルコから解放された犠牲者たちが天に召されていくんだけど、その描写がなんかでっかい魂みたいなのにシーマンみたいに荒いCGで取り込んだ顔が張り付いてて、まぁ良いシーンなんだろうけど、なんかシュールで笑ってしまった。

俺自身苦手とする「かつて人だったものが怪物に変身してしまう」描写満載(というか、そもそも遡ったら、幼少期に見た今作の写真が発端だったのかも)の観る人が観たらトラウマ確定な映画ではあるんだけど、特撮愛もあり、モンスターパニックとしても(ややクセありながらも)楽しめる作品でした。

キンチョールは最強笑。
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