足拭き猫

東京公園の足拭き猫のレビュー・感想・評価

東京公園(2011年製作の映画)
3.9
ヘンテコな切り返しの連続で彩られる前半。音楽も意図的にコミカルでソワソワした感じで進むが、終盤の終盤で大団円を迎えいっぺんに空気が変わる。

三浦春馬の空虚を見つめる視線がちりばめられているのが印象的。現実にあるものを見て、意志ある言葉を発したのは最後の方の公園での男との会話が初めてだったのでは。死んだ友人やストーカー依頼をされた男やおさななじみ、血のつながっていない姉との関わりから確固たる自分になっていくのだと。

女性たちは凛としていて男どもが情けなく、そういえば他の青山真治の作品でもそうかも。理想の女性が榮倉奈々であり小西真奈美であり井川遥なんだなぁと、監督の好みがダダ洩れに思えた。

蛍光緑色の染谷翔太がとてもかわいらしい。正面から見つめることなく、遠くから眺めて終わる憧れの井川遥は台詞ないのに存在感たっぷりで、レンズに追いかけられるだけの役に耐えられるのは彼女しかいなかったのでは。
キスシーンは果たして2回目はするんだろうか、その時間が長くてすごいドキドキした。