ホイットモア大統領

ビースト・ストーカー/証人のホイットモア大統領のレビュー・感想・評価

4.2
お口直しダンテ・ラムで鑑賞。

これだよこれ!!!この迫力だよ!
10年代以降の摂取量10,000kcalアクションは鳴りを潜めてるけど、本作で今に続く才能が開花した気がする!

刑事トンはある事件の捜査過程で、女検事アンの娘を誤って射殺してしまう。
悲嘆にくれる彼は、アンのもう一人の娘リンを影ながら守ることが唯一の生きがいとなっていた。
しかし、別の事件の担当となったアンへの脅迫として、トンの目の前でリンが誘拐されてしまう。
執拗に犯人を追うトンだったが、誘拐犯ホンにもそうせざるを得ない事情と因縁があり…

とまあ、あらすじだけですら伝わる辛み×3
テーマは「交差する運命、その抵抗」かな?

とにかくニック・チョンが凄い。というか怖い。
本作で香港のアカデミー賞と言われる「香港電影金像奨」の最優秀主演男優賞を受賞したことも頷ける凄み。失明が進行する訳ありの殺し屋、という難役を冷演。

片やニコラス・ツェー演じるトンは、昔こそパワハラ当たり前、使えない部下の首切り当たり前な熱血漢だったのに、今や見る影もなく落ちぶれている。

そんな彼が、左遷させたかつての部下(従兄弟!)に捜査協力を依頼するも、案の定一蹴されるシーン。
トンが過去の言動をきちんと謝罪し、相手もそれを受け入れ、結果手を貸す、という一連の流れにグッときた。

こういう、同じアジアでも韓国映画にはない “救い” と “気持ちのぶつかり合い” があるから、俺は香港映画が大好き!!
でもやっぱり、韓国映画も好きなわがまま大統領降臨。

リン役の女の子の演技もツェーとチョンに負けじ劣らずで、クライマックスのホンとの追いかけっこなんか手に汗握りまくり。

ということでアクションよりはサスペンスな作品だけど、前述の通りN.チョンの狂気はジャンルを飛び越えて最早ホラーだし、緩急がタワー・オブ・テラーのそれ。

特にラストの対比がエモい…エモ過ぎる。
因果応報とはいえ、あんなの泣くに決まってるやん…