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ブロンコ・ビリーのhabakariのレビュー・感想・評価

ブロンコ・ビリー(1980年製作の映画)
4.0
80年代前半のドサ回り映画でいえば、翌年公開される『カリフォルニア・ドールズ』を思い浮かべるが、アルドリッチの遺作のような苛烈さとは無縁。ロードムービーの趣すら薄い。
恐らく、これまでのフィルモグラフィに対する自己言及的な作品という位置付けにはなるのだろう。アメリカン・ヒーローの相対化、疑似家族テーマは後年まで引き継がれるものだ。またテント直上のアメリカ国旗の燃焼→星条旗の継ぎ接ぎによるテントの再建のような象徴的な演出や、保安官との対峙に代表されるジャンル映画のお約束の変奏もイーストウッドらしい。ジェフリー・ルイスが精神病院の壁を登るくだり(巡回の口笛!)なんて物語上全く必要ないが、あの作り物感が愉快だったりする。
途中まではさすがに傑作とは言い難い感もあったのだが、ラスト数カットに泣いてしまったので完敗。自虐的なユーモアがフィクション至上主義に帰結する美しさ。高層ビルの手前に立つテントの実在感。ただ、徐々に引いていく空撮で締めるのは『ガントレット』でも『ダーティハリー4』でもやってたじゃんと思ったり。
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