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エレファントのmのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
3.0
犯人に同情というか、共感というか、なにか感じてしまう作品だった。
沢山の歪さがあり、多感な時期というのが分かる。

有名な作品でとても観たいと思っていた作品。ようやく観れてよかったけれど、期待値を上げ過ぎた気がする。

序盤がとても長く、しつこさを感じてしまった。終盤の事件が濃厚になるからあのシーンは絶対的に必要なんだと思う。いつもの日常、それを描くことは大切で、それに私たちは胸を痛める。
けれど、重複のような撮り方はあまり好みではなかった。強調したいのだろうとは分かるけれど、あの撮り方をするのであれば、もう少し人数を減らし、より個々にフォーカスして貰いたかった。その方が中弛みしないと思う。
…ここが評価分かれるところかな。

私は主犯格の男の子がとても気になった。
食堂で騒音に耳を塞ぐ。あのシーンがすべてであり、彼を知れる唯一ではないか。
事件を起こしたのだから、彼に同情するべきではない。けれど、彼の心は確実に悲鳴を上げていた。
あのシーンは思わず涙が出た。
また、ジャケットに出ている男の子に主犯格の男の子は「中に入るなよ」という言葉をかける。それが良心にさえ思える。
ラストの悍ましい彼の行動には、息をのむが、けれど、彼なりの正しさがそこにはあるのだと思ってしまった。

また多感な時期の若者特有が色濃くでていた今作。
男に色目を使い、モテる彼氏を持つ彼女は怒り狂う、友達を束縛し、痩せるために吐く。学校の意味のない規則、手の掛かる家族、いじめ。
歪さを凝縮した学生たちの生活が恐ろしかったと同時に身に覚えがあった。

少し私はダレたなぁ、と思ったけれど、終盤のスピードアップ、また実際の話なども入れ、きちんと観るべき作品だと思う。
決して面白くはない。面白くないというと語弊があるが、教材として観るべき。


ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆(リアルさを追求したらしく、初々しかった)
メッセージ性 : ★★★★☆
感情移入・共感 : ★★☆☆☆

cc/キスも知らない17歳が銃の撃ち方は知っている
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