エレファントのカルダモンのレビュー・感想・評価

こんなにも個人がバラバラに描かれてるのに、人肌を感じる映画もなかなかない。あまり人には言わないけど、とても好きな映画。

交差する生徒たちの学園生活を背中から追いかけるカメラ。彼らの目線で流れて行く景色、なんの変哲もない曇り空が寂しい。たいして面白くもない学園生活も無くなってしまうなんて誰も想像していない。事件前の数十分が、生徒の名前ごとに分かれたチャプターでそれぞれの時間軸を切り取る。コロンバイン高校銃乱射事件の惨状を伝える記事や映像は無数にあるけれど、生徒の心や虚しさまで想像させるのはフィクションの力だと、この映画を観て思う。

生徒はすべて素人であり実名での出演。とても生々しく自然な彼らの姿は、ポートレイトのように些細なシーンでも強く印象に残る。




余談
写真部のイーライがフォークを曲げてブレスレットにしていて、カッコいい！！と思った私はマネしたのだけど、どうにもしっくりこなくて意気消沈した23歳。