ぬーこ

あゝ同期の桜のぬーこのレビュー・感想・評価

あゝ同期の桜(1967年製作の映画)
4.1
監督 中島貞夫
脚本 須崎勝彌、中島貞夫
原作 あゝ同期の桜かえらざる青春の日記

神風特別攻撃隊として、太平洋に散っていった元学生達の手記が原作。ドラマもあるらしい。

特攻隊といえば永遠の0を思い出す。アレも生々しさがあったが、本作はもっと泥臭い印象。無垢な大学生が勝てるはずもない戦争で命を失っていく、その彼らの残された人生の歩みを見ていく。
特攻をちっとも美化していない所も良かった

俳優陣が豪華。松方弘樹(白鳥)、千葉真一(半沢)の大学生コンビ、赤子のいた夏八木勲(南条)、復学を願うも空襲で死んだ村井国夫(由井)
特攻を指導する側の高倉健(剣持)、鶴田浩二(陣内)
画面にいっぱいに俳優陣の目力がたぎっていた。高倉健と鶴田浩二の残る者と出撃する者のやり取り。由井が空襲で亡くなり、遺体を焼くシーン。頼むから早く燃えてくれよ由井と聞いて泣いてしまった。


死を前にした白鳥の両親との掛け合い、南条の妻子との面会。辛すぎて、一体誰がこんな戦争を始めたのか、特攻なんてことをどうして思いつくのかと憤った。国民を守る、アジアの同胞を助けるという名目で国民を殺しにかかるなんて。

最後の夜どうしても死ぬ覚悟ができずに零戦を見に行くと脱走した同期の滝の姿が。しかし滝は軍部の裁判後精神をやられていてまともに喋れない。そうか、滝お前もう死んでたんだなあと死を覚悟するとこヤバい

○シーン
シーンは全てが見どころ
・冒頭の松方弘樹の歌
・学徒動員で演説をする東條英機のニュース映像
・数少ないコメディシーン。軍帽と間違えて学生帽被ってしまう。上官の目の前で大福食べちゃう笑
・松方弘樹が自転車乗れない、いじる高倉健


○セリフ
今の戦争は物量だよ。上官の方々は精神なんかで勝てるとでも本気で思ってるのかね。(夜中の土浦で)
右旋回ようそろ〜(エヴァのマリじゃん!)
・分隊長ー!
・(特攻兵は神様だと言われた千葉真一)神様か。うす汚い神様だな(と軍関係者に怒りを滲ませる)


2021.141
ぬーこ

ぬーこ