SatoshiFujiwara

果しなき欲望のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

果しなき欲望(1958年製作の映画)
3.9
久しぶりのイマヘイ作品鑑賞。しょっぱなからの殿山泰司、西村晃、加藤武の登場に1950年代の日本映画の豊かさを噛みしめる。この直後には小沢昭一と渡辺美佐子が出てきてしまうんだから堪らない。どいつもこいつも腹に一物秘めていて互いに出し抜いてやろうという雰囲気を醸し出しながら、しかし楽ではない穴掘りでモルヒネを狙うには5人の団結が必要だってことで一悶着ありながらも何とか獲物に辿り着いたは良いが、最終的にはみんな死んじまってジ・エンドってのが効いている。ここに長門裕之と中原早苗の恋模様が絡んで作品の印象はケイパーもののプロトタイプを踏まえつつもラブコメ要素あり。人間の業を見据えつつも軽やかな演出はまさにイマヘイ自身の言う重喜劇そのもの。例によって姫田真佐久と黛敏郎は良い仕事してます。この監督の作品は後年の教訓性やらヒューマニズムが前面に出たものよりも『にっぽん昆虫記』『赤い殺意』『豚と軍艦』なんかの傑作が揃った60年代までの方が明確に面白いと再認識であった。
SatoshiFujiwara

SatoshiFujiwara