真鍋新一

女を忘れろの真鍋新一のレビュー・感想・評価

女を忘れろ(1959年製作の映画)
3.8
渡り鳥シリーズ以前のアキラ&ルリ子カップルを愛でる回①。

歳上の南田洋子にどっぷりお世話になっている元ボクサー、現在はドラマーのアキラの前に、女子大生のルリ子が現れとても悩む。

アキラは最初のカットから自分でちゃんとドラムを叩いていて、上り調子のパワーを炸裂させている。おそらく先にボクサーとドラマーの役でスターになっていた石原裕次郎をバチバチに意識。

安部徹はいつも通りのガハハオヤジ系悪役。金子信雄も悪いヤクザなのだが、かなりの知性派でおそろしく手強い。星の数ほどある信雄のヤクザの親分役のなかでトップクラス。若いアキラがそんな彼を向こうに回してどう立ち回るかも見どころ。

とはいえ一番素晴らしいのはアキラを間に置いて三角関係になる浅丘ルリ子と南田洋子。無意識に若い魅力を発散しまくるルリ子に脅かされる南田洋子の緊張感がすごい。ルリ子がアキラに宛てた手紙の朗読場面の破壊力よ。
真鍋新一

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