まぴお

100歳の少年と12通の手紙のまぴおのレビュー・感想・評価

100歳の少年と12通の手紙(2009年製作の映画)
3.5
【あなたは今何時を生きていますか?】

少し前、電車でいきなり泣き出した女の人がいたんです。
崩れるように泣きだすものだから周りはギョッとした顔で彼女の方を見てた。
もちろん見ず知らずの女性なので誰も声をかけることができずただ傍観していた。

僕も気にはなりつつ皆と同様に傍観する立場だった。
目的の駅に到着し降りるときに
後ろをチラリと見ると顔をぐしゃぐしゃにした彼女が同じ駅で降りた。

僕は勇気をもって声をかけてみた。

「どうしました?」

彼女は少しびっくりした顔をしたあと

「いえ、なんでもないです」と答えた。

続けて僕は電車で女の子が周りも気にせず泣きだすなんてなんでもないよはないでしょ(笑)
って明るく返してみた。

そのあと続けざまに見ず知らずの人だからこそ言えることってない?
どうせだしぶちまけよう!と提案。

そのあと


ポツリポツリと語り出す彼女。





身近な人の死。






人の一生を一日に例えると日本での平均寿命が84歳だと仮定して

1時間が3.5年。
仮にあなたの年齢が20歳だとした場合、もうすぐ朝6時になるといった所だろうか。
30歳だと8時30分。45歳でやっとお昼といった感じだろうか。

よく人は今から新しいことを始めても遅すぎる。
もっと早く始めてればよかったと後悔するが朝の9時に物事を始めるのは遅すぎるだろうか?
どちらかというと学校の授業や会社の開始時刻であり「さぁこれから1日頑張るぞ!」といった時間帯でないだろうか?


言い換えるとその短い時間に「人生」の本質が詰まっているとも言える。
もしあなたの命がたった一日しかないと仮定したらあなたはどう生きるだろうか?
限られた時間の中1秒1秒を無駄にできないはずだ。


この物語はその人生になぞらえて一生をたった12日で体験する物語。
1日を10年に例えて白血病であるその少年はその人生の中で彼なりの
10歳、20歳、30歳、40歳を体験していく。そしてそれをあるきっかけから見守ることになった人嫌いのピンクおばさん。少しずつ変わっていく二人の関係とそれを見守る医者と看護師たち。

人は絶対に死ぬ。

これは紛れも無い事実だ。

そしてそれがいつになるのか誰にもわからない。でもそこにドラマが詰まっているような気がする。この作品を観てると改めて後悔のない人生を過ごすために1日1日一生懸命生きたくなる。


さきほどの急に泣き出した子の話に戻ると

その人との思い出をたくさん話し終えた彼女の顔は少し明るくなったような気がした。
こんな僕でも役に立てたのかなぁと別れ際に手を振りながらそう思った日。

524本目
まぴお

まぴお