Blake1757

ミリオンダラー・ベイビーのBlake1757のレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)
3.5
映画の世界には「ボクシング映画に外れなし」という通説があるらしいが、おそらくそこにはボクシングという競技の特性が作用している。裸に近い姿で鍛え上げた肉体をさらし、1対1で殴り合う競技であることは、言葉を選ばずに言えば「フォトジェニック(シネジェニック)」であるし、殴られることの怖れや痛みは感情移入をさせやすい(俗な言葉を使えば「エモさ」を喚起し易い)競技だという言い方もできるかもしれない。
また、球技や他の格闘技などと比べても、ボクシングが、映画の歴史の中で培われてきた格闘シーンの撮影における経験知や技術を活かしやすい競技だということも、おそらく関係しているのだろう。
そして付け加えるならば、この競技が「1ラウンド3分を単位とする」ことも、90分~150分程度の映画というフォーマットと相性が良いということもあるかもしれない。
さて、ではこの『ミリオンダラー・ベイビー』は、(例えば『ロッキー』のような)「ボクシング映画」なのかというと、イエスともいえるし、ノーともいえるわけで、その理由は、前半だけをとらえれば「ボクシングの試合」をメインプロットとして作られているが、結末近くで全く別の物語へと急展開を見せるからだ。
いずれにせよ、老トレーナーと女性ボクサーのバディものとして、(シリアスなテーマを扱っていることへの賛否もあるものの)、名作の一つであることは間違いないと思う。
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