よつ

死刑台のメロディのよつのレビュー・感想・評価

死刑台のメロディ(1971年製作の映画)
3.9
観てて辛かった……。
タイトルからして結末が死刑であることは分かりきっているのに、何度も光明が見えては一つずつ潰され、そのたびに落胆する。

移民×共産・無政府主義という2つのスティグマが重なり、サッコとヴァンゼッティは不当な裁判を受け処刑される。
同じ年代の出来事ということもあって『福田村事件』を思い出した。
福田村が人種による私刑なら、こちらは人種×思想による死刑。

サッコとヴァンゼッティはイタリア系移民。劇中では描かれなかったが、当時のイタリア政府は同胞を救うために積極的に動いた。当時の政権は2人の政治思想とは真逆のファシスト政権だったが、あのムッソリーニですら2人の命を救うための手紙を送ったらしい。
イタリア系への迫害が強かったのは先の世界大戦で敵対国だったことも影響してそう。

周囲の家族や弁護団が献身的なのが救い。中盤までは弁護士のおっちゃんが主人公だった。

映画音楽の巨匠モリコーネの代表作として知られるが、ストーリーに集中していたからかそこまで音楽は印象に残らなかった。でも悪目立ちせず自然と感情を盛り上げるのが真に優れた劇伴とも言える。
→すみません、あの歌もモリコーネ作曲だったんですね。めちゃくちゃ印象に残ってます。

とりあえずあの検事と裁判長が事件後にひどい目にあってますように!
よつ

よつ