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レスラーのSのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.1
色んな意味でしみる。痺れる。
無様な男の生き様が最高に格好いい。
ミッキーロークにしか絶対できないこれ。

痛みが痛みとして押し寄せてくる。
映画を観てこんなに痛みを感じる作品って
なかなかないと思う。

主人公の元人気レスラー、
ラムの咳込みからはじまるこの映画は
とにかくあらゆる痛みがリアル。
古傷をステロイドでごまかし闘う姿
地方の体育館に昔のスターを拝みにくる客の為、
無茶して頑張ってしまう姿
安いギャラには文句も言わず、キャンピングカー暮らしで
近所のガキとのやりとりまで物悲しい
過去のスターレスラーが集まるサイン会で
2ショット写真に$8で応じる姿
仲間のレスラーも身体ボロボロなのも
絶縁状態の娘の為に選んだ服がダサダサなのも
ストリッパーと一緒に80年代HRとかメタルは最高だったと懐古する姿も
全部、鈍い痛みがほんとにボディーブロー状態

時代に取り残された者同士、傷をなめ合う
ストリッパーの存在だけが救いだけど
リングでかっこつけたくなる理由でもあるのかも

最初は、老いぼれても後輩レスラーからは
結構リスペクトされてる感じで、
そんな哀れじゃないじゃん?と思ったけど
むしろそれこそが現実の惨めさを浮き彫りにしていて。
本当にマットの上でしか生きられない
自分が自分として輝くために
闘い続ける辛さと格好よさの根源になってる

最後のマイクパフォーマンスは涙なしではみられなかったです。
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