井出

サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-の井出のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

現実と夢、煩悩と超自我、妻と母、老いと若さ、死と生、最期に彼はどちらをえらんだのか。後者側を選んだとも解釈できる。最後は夢の世界に幼い自分によって部屋に誘われ、超自我に見守られながら、母の血で鮮やかに染まる水の中で輪廻的に、カエル(成人の象徴?)のように泳いでいる。彼はうき世に、そして、夢を体現した世界に生き続けているのかもしれない。母親が赤い服を着ていたのは、血のイメージだったのか。
しかし、はっかにぶんのいちみたいに、その二律が共存し、入り乱れていた。何が現実で何が夢か、何が生きることで、幸せなことか。映画館には人によってはあたりはずれがあるロトくじがうられ、当選すれば、お金を得る。夢か現実かわからない。おそらく、夢と現実の境界をなくすことで、いろいろなことに心を動かし、それがエネルギーとなり、生きる目的になっていた。そしてそれを体現し、しかもそれ自体が夢となって観る者に捉えられるものが映画なんだなと思う。だから夢自体も面白いし、帰った後にその事物の象徴性に想いをはせる夢分析をしたらもっと楽しいってことだろう。
しかも今回はその解釈に関してかなり説明的だったこと。夢に注目させたり、それを分析させたり、フロイトとユングを登場させたり。最期に伝えたいことがあったんだろう。
急いで駆ける人たちがジタバタするだけで進んでいなく見えるのは確かにそうなんだろう。お金の関係でギャラを削ったといってたが、わりとしっかり出てきたから、彼は夢を忠実に再現するのに、相当なこだわりがあり、普通に撮るより全然時間がかかるんだろう。
井出

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