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ゾンビランドのEikeのレビュー・感想・評価

ゾンビランド(2009年製作の映画)
3.2
世界がゾンビに支配された大混乱後のアメリカ。
「生存者」の大学生の若者はゾンビの恐怖に怯えつつ故郷のオハイオ州コロンバスを目指します。
その道中、過剰に武装したタラハシーと名乗る謎のゾンビキラーと出会い、道づれとなるのですが…。

英国製の傑作 ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年)に触発された本家米国産のゾンビコメディ。
元々はTV用の企画だったらしいですが、確かにストーリー面では実はちょっと苦しい出来。
シチュエーションこそ特異でありますが物語と呼べるほどのものはありません。
それもあってか上映時間がかなり短くなってます(88分)。
だらだら間延びするよりははるかにましですけど。
設定はゾンビ映画ですが、これはホラーではありませんよね。
それもあってかジョン・カーペンターはスタジオ側からの演出依頼を断ったそうです。
コメディとしてもオープニングこそ弾けておりますが中盤からはトーンダウンして普通のドラマになってます。
それでも一応、白けることなく見られるのは登場人物たちが中々魅力的に描かれているからでしょうね。

W・ハレルソンが演じるゾンビキラー、タラハシーの弾けっぷりが最高ですが、主演のジェシー・アイゼンバーグ、ヒロインのエマ・ストーンにも大注目。
アイゼンバーグ氏は「ソーシャル・ネットワーク」で知られておりますが独特の演技センスを感じさせる個性派。
お相手のエマ・ストーン嬢も「ラ・ラ・ランド」でオスカー女優になってしまいましたが本作の頃はまだ売り出し中の状態だった訳ですが彼女はコメディセンスも持ち合わせている才女で、その片鱗は本作でも発揮されております。

それにしてもゾンビ禍を含めて文明崩壊後の世界を描く作品がこれほど世に溢れるのはなぜなのか?
ゾンビランドはディストピアではありますが同時にユートピアとも見れる辺りが魅力的でもあります。
本作でも主人公たちが意味もなく店舗を破壊してはしゃぎまわるシーンが出てまいりますが、社会秩序の喪失に伴う解放感も重要な要素なのだ。
クライマックスでは舞台そのものがアミューズメントパークに移りゾンビとの対決も「お祭り状態」に。
ホラー映画とレッテルを張るにはちっとも怖くありませんがオタク度の高い若者の変則的ファンタジーとしては楽しめる作品になっております。
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