takumi

白い恋人たち/グルノーブルの13日のtakumiのレビュー・感想・評価

4.4
ルルーシュ監督だとは知らず鑑賞。
『男と女』と同じ音楽と映像を感じ、後に知った。
度々訪れる音の不在。これが緊張感を与えている。
そしてモノクロ、粗い映像。年々、技術が精密になっていくシステムの中、『男と女』にもその粗さから感じられることが多く、むしろ鮮明な映像よりもこちらの方が心地よく感じてしまう。
何故だろうー?
人間は欠けている部分を補おうとする。私たちが普段見ている現実世界とは似て非なる映画の世界を、無意識に補完して鑑賞してしまうのだ。
作中、電光掲示板に表示するために、人体の行為はデータ(情報)に置換される。人間は主体であり、客体でもあるのだ。だから、データ(人体とは異質のもの)によって補完もできる。義眼や義足というものを取込み、扱うこともできる。
人間の肉体の、真の意味をここに問いたい。

心地よいタイミングでの音の不在、声とメロディーが眠気を誘う。夢の中、外部と接続した事実は忘れているにも関わらず、気持ち良い感覚だけは長く継続される。しかし、終わりはある。睡眠中であっても、耳は開いているのだ。触覚や嗅覚は、視覚と違って鈍くなることはあるがシャットダウンされない。無意識に外部からの情報に反応して、目や脳を覚ますことさえある。人体は望まずして影響されるのだ。それを私たちは繋がりと言う。
takumi

takumi