闇夜に背を向けて
【詩的ストイック】
稀代の作家ロベールブレッソンの脱獄モノです。レジスタンス運動によりドイツの収容所に収監された青年が、さまざまな人脈と雑多な道具を組み合わせて脱獄をはかります。
「プリズンブレイク」を期待してはダメですし、かといって「アルカトラズからの脱出」よりもはるかに地味です。
しかし余計なものがない故に、場面場面が力強いのです。脱獄のために試行錯誤し、着々と準備を進めてゆく緊張の運動をクローズアップで淡々と描写する。それを短いショットを大胆につなぐモンタージュで魅せてゆきます。
【ブレッソンの脱獄モノ】
監督ロベールブレッソンという人は、第二次大戦時にドイツの強制収容所にあった。そこでとある司祭と知り合ったことで、彼の作風の多くが確立されました。
ドイツ収容所が舞台の今作は、どうしてもブレッソン自身の境遇と照らし合わせずにはいられない。
しかしながら、「スリ」なんかと比べるとカトリック的な示唆は少なく、脱獄までの運動をほんとにストイックまっしぐらに映し出しています。
【列車の煙がかっこいい的まとめ】
気は合いませんが力のある作品です。
ただ、巷でリアルと言われているのがちょっと意義ありです。「スリ」の時もリアルリアルと言われていましたが、私からするとスリのリアルってなんだ…??という認識。本当のスリが分からない以上、なにがリアルなのかわたしには皆目検討もつきません。
ましてや脱獄のリアルってなんだ…??
そもそも映画のリアルってなんだ…??
誰か私に毒薬を