Eyesworth

ジャッキー・ブラウンのEyesworthのレビュー・感想・評価

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)
4.7
【目には目を歯には歯を悪には悪を】

クエンティン・タランティーノ監督の3作目。有名な『キル・ビル』と『パルプ・フィクション』の間に制作されたためかあまり注目されないが、70年代テイストを前面に押し出した、クセ者スター勢揃いのブラックスプロイテーション映画。

〈あらすじ〉
黒人スチュワーデスのジャッキー・ブラウンは、密売人の売上金をメキシコからアメリカに運ぶ副業を持っていた。だが、ひょんなことから逮捕され、捜査官レイに密売人オデールの逮捕に協力するよう強要される。オデールが証拠隠滅のために自分を消そうとしていることを知ったジャッキーは、関係者をあざむき、お互いに潰し合わせようとする…。

〈所感〉
他のタランティーノ作品に比べると地味だが、だからこそ良い向きもあった。
『パルプ・フィクション』同様にサミュエル・L・ジャクソンの油の乗りまくった悪党ぶりを楽しむための映画だと思う。主人公ジャッキー・ブラウンを演じたパム・グリアは非常にセクシーな容姿かつスマートな思考をしており、元来の黒人女性像を塗り替えるようなカッコ良さである。刑務所上がりのルイスを演じたロバート・デ・ニーロは彼のキャリア史上一番の端役ではないだろうか。最後まで全く見せ場なく、メラニーに立ちバックして3分でイッたのが唯一のハイライトである。タランティーノの映画は大変無駄口も多いが経緯がわかりやすいため最後の場面のじやっきー、ルイス、マックスの三者の視点の切り替えに興奮させられた。それぞれの思考が交わる瞬間、誰もが固唾を飲んで見ることになる。プロローグとエピローグが重なる。同じシーンのようだが、ラストのジャッキー・ブラウンの方はどこか清々しい面持ちに見える。立場の弱い者の勝利はやはり気持ちいい。悪には悪で対抗するしかない。
Eyesworth

Eyesworth