ちいさな泥棒

幻しの合唱のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

幻しの合唱(1935年製作の映画)
3.5
ダグラス・モンゴメリーに恋をしてしまった……


聖職者でアヘン中毒のジェスパーは甥の婚約者への叶わぬ恋に失望し甥を殺害、別の恋敵を犯人に仕立てあげる….生理的に拒絶されても我が物にしようとする姑息なジャスパーの熱量が怖い。

"探してる相手は意外とそばにいる"

血の気は多いけど自分を信じてくれた人には尽くしたい真っ直ぐな青年が犯人ではないと証明するための作戦が大胆で好き。

婚約者ローズに一目惚れしまたローズも一目惚れする青年に私も恋してしまいました。ダグラス・モンゴメリー。もとの体格がいいからかこの時代の俳優としては珍しくスーツがパッツパツなところや当時のメイクは施してるものの現代的な顔立ちや何より日頃から人懐っこそうな笑顔にやられてしまいました。

あとあと、俳優界も顔立ちや体格を見ていてなんとなく新しい風が吹いているように感じがしましたが、世間的にも世代交代の時期だったんだろうか単純なお話かと思いきや子供の頃から決められていた結婚に対し「好きな相手と好きなように生きよう!」と現代的な考えをもち行動する2人や、複雑な生い立ちでついカッとなりやすい自分を理解し恩義は忘れない青年との三角関係が複雑に絡みあって見応えのある一筋縄ではないお話でした。

今ならスマホでちょちょいっと発信できるけど、この時代ならではのここぞという場面で話そう、話しすぎない、聞きすぎない、沈黙することも…という美徳。それが時として仇となり巻き起こる誤解や複雑な人間模様は見ていてもどかしいけどだからこそ真実が伝わったり成就した時の嬉しさは計り知れない。