名優クロード・レインズ主演のサスペンスです。原作はイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの『エドウィン・ドルードの謎』ですが、作者が亡くなり未完のまま残ったものです。
タイトルのエドウィン・ドルードはある嵐の夜に突如失踪した青年の名ですが、その叔父がクロード・レインズ演じるジャスパーで、教会の聖歌隊長を努めている謹厳実直な男でした。しかし、実はジャスパーは甥の婚約者に邪な恋心をいだく阿片依存症の男でした。
原作は未完成ですので事件の提示だけはされていても真相も真犯人も解明されていないのでミステリーとしては成り立たないのですが、映画は残された未完成作を補完し、これしか考えられないだろうと観客も納得できるストーリーになっています
クロード・レインズが狂恋に身を焦がし、聖と悪の間で苦悩する男を好演しています。後半の映画オリジナル部分になると、ミステリーよりもサスペンス色が強くなって、真犯人をどう炙り出すか、事件の解決を望む複数の人物が罠を仕掛けます。