シミタカ

ゾンビ/ディレクターズカット完全版のシミタカのレビュー・感想・評価

3.5
この映画を観終わった時に、一般的な娯楽映画としてゾンビの基礎を楽しめたという気持ちよりは、
「この映画、ただのエンタメの領域に収まらず、何か芸術領域のメッセージを伝えようとしてるな。」
という印象を強く受けました。

劇中の所々に散りばめられている違和感がそう思わせる原因となってると思います。
・小気味良いショッピングモールのBGM
・極限の状況にも関わらず、ほのぼのと生活を楽しむ登場人物たち
・ゾンビ映画なのに、人間と人間が殺し合う
など、正直普通のその手の映画ではなかったです。

個人的には、冒頭の片足の無い老人が言っていたことがメインテーマなのかなと思ってました。
「死人が蘇り歩き回る時、生きた人間が争いを起こすことは、それすなわち破滅を意味する。」的なことを言ってましたww

いつの時代も争いが絶えることのない人間の末路のようなものを描きたかったのかな?と解釈しましたが、イマイチ腑に落ちなかったので、町山さんの解説を聞いてしまいました(笑)!

その内容はここでは書きませんが、ジョージ・A・ロメロ凄いわ!と思わされる解説でした。
失われゆくアメリカの文化
ショッピングモール
今の人間≒ゾンビ?
という風刺的な問題や未来像を見事にこの映画に落とし込んでいることを知りました。

このように、ただのエンタメ作品に収まらないところが、時代を超える伝説的な映画になった要因だと思います。


〈豆知識〉
劇中のショッピングモールの店内BGMは、ジョージ・A・ロメロが住んでいたピッツバーグにあるショッピングモール「モンローヴィル・モール」の店内BGM。で、実際にそこで撮影が行われた。
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