ーcoyolyー

踊る海賊のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

踊る海賊(1948年製作の映画)
3.4
非常に下賎な表現の仕方をしますとモラ男とメンヘラジャンキー、悪夢の競演です。

「現実と夢の世界があるわね 違いはわかってる 混同したりしない 絶対に」
こんなことジュディ・ガーランドに言わせんなよ……と思ってたら
「心を澄ませて 忘我の状態に 彼女の心を浮世から解放しよう」
こんなことジーン・ケリーの口からジュディ・ガーランドに語りかけさせるなよ、と……


ジュディ・ガーランド、自我が崩壊しているのでただ単に流れ作業として言われたことそのままやってます、という時と突然スイッチが入って狂気の炎を燃え盛らせている時しかない。演技じゃねえ、この狂気本物だぁ……っていう迫力でジーン・ケリーやモブの皆さん怯えてる。それがとてもリアル。演技という安全装置の枠をぶっ壊している本物、『欲望という名の電車』ブランチ役のヴィヴィアン・リーぶりに目の当たりにした。

話が支離滅裂なのは仕方がないというか撮影時の苦労も偲ばれるのでよく一つの映画にまとめ上げたな、と制作陣を労わりたくはなる。

オリエンタリズム的にはジーン・ケリーが頭のてっぺんから爪の先までアウトです。アウト見本市です。これをアウトとできてドン引きしてしまうのが普通、という社会になってて良かったなと思いました。
ーcoyolyー

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