大好物な実話モノな上、その題材が終戦の約1年前に実行されたヒトラー暗殺未遂事件。
そんな軍事クーデターを起こしたのは、祖国ドイツを愛する若き将校シュタウフェンベルクで、演ずるのはトム・クルーズ。
1人の将校がナチスドイツの所業に憤り、このままではドイツの未来に関わる危機だと、周囲の将校たちを説き伏せていく姿が、スパイ映画さながらに描かれます。
こう見ると軍部とは言え、それぞれが政治屋のようであり、国を憂う理念を持っているのはほんのひと握り。
それぞれが革新と保身の間で揺れ動く姿まで描かれていて、静かな中にもスリルある展開が最後まで続きます。
戦争を振り返る映画を見れば、どこの国にも起こっていることのように思えます。
一人ひとりは心ある人間なのに国の旗を掲げてしまうと、その下には国ありきな政治屋が出てきてしまうのは、日本やアメリカも然り。
このクーデターは失敗に終わり、関わった将校たちは粛正されますが、シュタウフェンベルク大佐が予言していた通り、事件の9ヶ月後にヒトラーは自決してドイツは莫大な戦後補償に苦しめられることになります。