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北京ヴァイオリンのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

北京ヴァイオリン(2002年製作の映画)
4.3
音楽の弟子対決と言えば『セッション』が有名ですが、安心してください😆、その真逆なストーリーです。いいお話でした。音楽って、演奏家って本来はそうだよね、と清々しい気持ちになれます。無口な天才少年が父親との愛情と葛藤を乗り越え、いく周りも成長していく姿に涙がとまりません。

地方の小さな町では知らない人のいないバイオリニスト、チュンはまだ13歳の少年。町の人が心安らぐ音楽がほしくなるとチュン少年は呼ばれてその場で演奏します。難産の妊婦を癒す曲、祝いの席で一緒に楽しみながら弾く音楽、人びとの気持ちに寄り添って演奏することを身につけていきます。

チュンの少年らしさが最高に可愛い、もう尊いです。ぶっきらぼうで無口で性と自我に目覚める多感な年ごろ。実際のバイオリニストが演じています。

チュンをなんとか一流にして成功させたいと、シングルファーザーのリウは、貧しいながらもコンクールに出場させ、北京の大先生につけようと必死に頭を下げた結果…

いくつもの選択を迫られ、多感な少年チュンは初恋も経験し、自分の道を選んでいきます。

音楽には疎いのでわかったようなことを書くのもなんですが、アーティストとして成功するには才能、努力以外に人の気持ちに敏感であることが大切なのかなと思いました。相手に伝えたい心あっての音楽。相手の状態、気持ちに合わなければ伝わらない。目の前の人の気持ちを思って演奏する。チュンが身につけてきたことが表現力につながっていったのだと思いました。

そして、まだ複雑な状況に置かれたことのなかったチュンが葛藤におかれて、バイオリンを通して伝えたい言葉や気持ちの代わりに自己表現していく、自我の目覚めでもありました。

ある芸術一家のバイオリニストが、感動に出逢い、感極まるとバイオリンを弾きたくなると話していた記事を思い出しました。

バイオリンの名曲がいくつも奏でられます。有名なのしか知らないけれど、バイオリンの音色が好きです。

チュンの美しい音色はお父さんとのハーモニーでした。すごく素敵なお話なのでオススメします。


📖
大先生の一人ユー教授は、チェン・カイコー監督が演じ、
美しいリリは、監督の妻が演じています。


🎶映画と関係ない話ですが、我が家の不機嫌な猫が、バイオリン曲をかけるとスピーカーの前にやってきて寝転び、しっぽをゆったり動かしながら目を細めうっとりすることに気がつき、それからはバイオリン曲をかけることが増えました。高音が猫の耳に優しく癒すみたい。ピアノよりバイオリン、とくにバッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の中の「パルティータ第3番ホ長調」がお気に入り。

逆に他の猫で怒りだした曲はハーモニカと「Wow War Tonight」。低音のハーモニー許せないみたいです。ごめんね。😾
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