半兵衛

アンネの日記の半兵衛のレビュー・感想・評価

アンネの日記(1959年製作の映画)
4.0
見つかれば死の可能性が高い過酷な屋根裏部屋での隠れての生活でも、年頃だったら色々多感だし何なら男の子にも興味を持っちゃうよねでもそんな青春も過酷な状況では癒しにもならないしむしろ一緒に住む大人たちのギスギスした空気に飲み込まれていくのがきつい。

そしてそんな日中は足音も立てずひたすら動かない彼らと薄い壁一枚を隔ててなにも知らずに生活している人たちや調べに来るゲシュタポとのいつばれるかわからないギリギリすぎるやりとりは見てるこちらにも緊張感が伝わってきて心臓がドキドキしてしまった。特に後半の疑心暗鬼と連合軍の勝利という希望の二つの感情が入り交じった主人公たちのやりとりは観客はオチをしっているだけに余計やりきれなくなる。

部屋を出たアンネを直接映さず、生き残った者たちのやりとりと彼女が好きだった窓から見える空の風景で一つの若い命が消え去った喪失による余韻を残すラストにしばし茫然とする。
半兵衛

半兵衛