映画好きの若造

ゴジラ FINAL WARSの映画好きの若造のレビュー・感想・評価

ゴジラ FINAL WARS(2004年製作の映画)
4.6
ゴジラ最終作と銘打たれながら公開されたゴジラ生誕50周年記念作品。何かと悪目立ちしやすい本作だが蓋を開けてみればそれは間違いなく最高に楽しいアクション映画だ。
まず、この映画の面白いところは畳み掛けるような激しい展開の数々と怪獣のオールスターが集結して暴れまくる姿が見られるところだろう。作中の演出はほとんどが派手で盛り上がるもので構成されており、個人的に終始ずっとワクワクが止まらなかった。言うなればアニメワンパンマンの一期を見ている時の感覚に近いだろう。特に本作のゴジラは歴代でもトップクラスに強く、彼が他の人間がどうやっても一切敵わなかった怪獣たちを余裕で一掃していくシーンはとてつもなくかっこよかった。(しかし怪獣の扱いに優劣がある点は気に食わない人は気に食わないだろう。)肝心のストーリーもメッセージ性や人間パートのドラマが薄かったとは言え、意外な展開が幾度と続いたり、一か八かみたいなシーンも多かったので決して飽きる事はなかった。また、本作では人間(ミュータント含む)同士のバトルシーンも盛んに見られ、これが意外にも悪くないどころか面白かった。そして、本作では過去作を知っている人なら分かるネタが多く仕込まれていて、個人的にそう言うところも面白くて良かった。
本作が批判されている、評価が著しく低い原因は同じく平成シリーズで最終作を名乗ったvsデストロイアと比較しての内容の薄さが原因だろう。確かにvsデストロイアは初代のテーマを踏襲しつつゴジラという存在の尊さを上手く演出してゴジラシリーズの最終作として完璧すぎる締め方をしたと言えよう。しかし、映画としてきちんと批評する上でそれに劣るとは言えこちらもゴジラシリーズの最終作としては中々の出来なんじゃないかと思っている。深いドラマがなく人間パートは一般市民中心ではなく怪獣と戦う科学特捜隊みたいな人離れしたTHEフィクションみたいな感じの組織がメインなので最近のゴジラ作品の流れから見れば異端感が否めない所はあるが、過去作の怪獣やオマージュが大集結する点、爽快すぎるくらいのゴジラ無双を全面にアピールできた点、最高に盛り上がる展開が次々と待ち受けており歴代最高峰のエンタメ性を誇っていた点で言えばこちらも最終作の一つの形としてかなりアリなんじゃないかと思っている。
いくつか欠点もありつつそれらをお祭り騒ぎでぶっ飛ばして総括的に良い方向に持っていってる本作、低評価だからと敬遠せずにゴジラ好きなら一度は見ておくべきである。結局楽しいから悪くないんすよ、このゴジラファイナルウォーズは。むしろ振り切ってるファイナルウォーズと違って方向性も噛み合ってなかったりイマイチ盛り上がらないゴジラ作品なんてめちゃくちゃにある。昭和シリーズは大半が人間もゴジラも退屈で子供騙しな内容だしミレニアムシリーズも正直シリアスな方向性の割に何が伝えたいかもハッキリしないしストーリーもイマイチ盛り上がらないし感動しない作品が半分くらい占めてる印象だ。少なくともそれらと比べたら絶対に悪くない作品である事は間違いないと個人的に思っている。
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