ガス・ヴァン・サント映画3つ目。
ついぞ思うことは、この人の映画ってその事の「経験者」がいないと成り立たない映画だということ。
リアルさでいうと最近色々なところで紹介されている『明日私は誰かのカノジョ』って漫画に似てる。
しっかりインタビューをしたのか、あるいは製作側に実体験者がいると思う。
養子を引き取るとお金が貰えるので、そのお金目当てに子供を受け入れる人がいる。フランスに行った時知ったことは、ホームステイを受け入れるホストファミリーも貰えたりするんだったかな。
金目当て。
それは現実の中の、悲しいけれど決して少なくはない出来事。体験者でなくとも実情をある程度知ってると思う。
天才っていう設定は映画のためかな。あるいは子供の持つ無限の可能性をデフォルメした状態。
その主人公の設定とかバックボーンよりも、とにかくこのカウンセリングのあり方がリアル。前回観た『ドント・ウォーリー』もとにかく回復過程がリアルだった。
え?これ経験なしに想像だけで作った映画って言われたらびっくりする。
この映画の場合は中心人物が若者ということで映像もストーリーも若々しく、変な重厚感なしにキレイに作ってある。ウィルはずっとヨレヨレのシャツ着てるんだけど、全然きったなくない。
万華鏡のような多面体に乱反射する映像と柔らかい音楽で始まるオープニングからして、優しい物語が始まるんだろうなあって思う。
そしてその期待通りに進んでいく。
主人公のお部屋がね、もう荒んで人生終わってる人の部屋じゃ全然ない。家の外側はボロボロなんだけど。彼がどんな人物っていう設定なのかよくわかる。
いやぁ素敵なボーイミーツガール👏その辺は映画っぽい。たしかに誰かを真剣に愛せるようになることってものすごく大きな変化なんだけど、現実じゃうまくいくとは限らないし。
家の中から始まって家を出て行く終わりというのが、綺麗な起承転結だなと思う。殻の中から始まって、外に出ていけるようになる物語。
「経験者」として言うならばほんとに、カウンセリング受けてるような映画だった。笑 3つ映画観て思ったけど、何年も同じテーマの映画をずっと撮ってる人なんだなあ、ガスさん。
彼の『エレファント』はもはや実話ベースの映画だし、リアルっていうのがテーマにある人なのかな、他のもゆっくり観てみよ。