土萠めざめ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちの土萠めざめのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

文句無しの感動作だった。まず、天才的な頭脳で本に書いてある知識を完璧に暗記でき、本で得た知識だけをひけらかして他人に心を開かないウィルに向かってショーンが「君は僕に朝、愛する女性の隣で起きるという、心からの幸せがどんなものか教えることができない」と言い放つシーン。ウィルのコミュニケーションの取り方の不器用さ、未熟さの本質を突いており、ウィル的にもグサリと来たのだろう。そしてウィルは一人の女性を愛し始めるが、幼少期に虐待されたトラウマからか、捨てられるのが怖いために自分から彼女を突き放してしまう。また、エリートしか行けないような会社への就職を勧められても、清掃員や建設業の仕事を続けて何が悪いと開き直り、与えられたチャンスを無にしてしまう。そんな彼に、ショーンが「なぜ有名大学の清掃員になったのか、なぜ黒板の数学の問題をこっそり解いたりしたのか。君は本当は何がしたいんだ。こんな簡単な質問になぜ答えられないんだ(大意)」みたいなことを言い放つ。これもまた確信を突いている。泣けたのはこのあとで、ウィルの親友が「もしお前が20年後も工事現場でなんか働いてやがったら、俺がぶっ殺してやる。」と言い出す場面でまず泣ける。この親友はウィルが自分達と違った才能を持っていることを理解しており、それを妬むわけでもなく、ウィルの背中を押そうとしている。本当の友情を感じて、イイヤツだなあと思った。そして号泣したのが、ショーンがウィルに「私の目を見なさい。君は悪くないんだ」と繰り返すシーン。この直前でウィルはショーンがウィルの将来を巡って教授とケンカする場面を立ち聞きしており、まずウィルはショーンが自分をどれだけ大事に思っているのかを実感したのだと思う。そして二人は互いの過去についてわずかではあるが語り合い、ウィルはショーンが自分と同じく、家庭で暴力を受けていたことを知る。その上で、ショーンから繰り返される「君は悪くないんだ」という言葉に、ウィルは初めてショーンの前で涙を流す。とても感動した。一流の会社に就職したかと思えば、「別れた彼女を追いかける」という本当に自分のしたいことを見つけて旅に出る、というオチも清々しくてよい。ショーンは、「あのクソ野。。。それは俺のセリフだ!」と言いながら、ウィルが本当に自分のしたいこと、大切なことを見つけることができたと悟って満足げな表情を浮かべる。ショーンもまた、新しい人生を歩み出す。