イッテルビウム中田

レミーのおいしいレストランのイッテルビウム中田のレビュー・感想・評価

5.0
保守的で高い格式を持つフランス料理において絶対に居てはならない存在であるネズミが厨房に入る。
ラストの一幕を何も知らない人が目撃したならば悲鳴をあげるであろう。否、知っていても不快に思う人はいるかもしれない。

ところが、主人公レミーは料理人である。

後の作品である『ズートピア』や『マイ・エレメント』においても差別や偏見はテーマとして扱われているが、本作においても偏見を持たずに挑戦することの大切さを説いている。

一般的にネズミは汚ないものとして描かれているが、レミーはそうではない。彼は二本足で歩くし、料理において〝一流の才能〟を持っている。
ネズミの世界では検査官としての役割でしか活かせなかったレミーはリングイニとの出会いにより憧れてた世界に飛び込むことができた。

数年後に公開された『シュガーラッシュ』では各々が〝役割〟を全うすることをテーマとしていた。作中では料理に関しては門外漢のリングイニ。
リングイニは料理を習得することもなく、結局はウェイターになった。皿洗いすらマトモにできなかった男がウェイターだ。彼もまた物語のなかで〝役割〟を掴んだのである。

情熱を持ったことはとことんやれ、そうでないなら他を探せ。必ず居場所はあるから。そんなメッセージを感じた作品である。