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その壁を砕けのout1のレビュー・感想・評価

その壁を砕け(1959年製作の映画)
4.0
例えば『リチャード・ジュエル』のように、草の根の正義が履行されるというより、
村社会の偏見、警察官僚の機能不全、家父長制の歪みという不正義が全編を覆っていて、
芦田伸介の無頼の弁護士や信欣三の聡明な裁判官、長門裕介の良心的な警察官が
点在するだけで有機的に連動しない所が日本的だよなあと。
芦川いづみの可憐さが、
日本的な不正義と湿度から世界を救うみたいな話。

そして、姫田真佐久の撮影も素晴らしい。
屋内撮影は、言うまでもないのですが、
屋外の引きのショットが素晴らしい。

尾行する刑事と共に
広々とした駅前の広場にポツンと存在する芦川いづみをクレーンで捉えたショットとか痺れたなあ。
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