あーや

その壁を砕けのあーやのネタバレレビュー・内容・結末

その壁を砕け(1959年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「その壁を破れ」も中平康監督作品なのですが、観る機会が無かったため初見です。こちらも期待通りの良作でした!
本作はサスペンスなのでアップテンポではなく、他の中平康監督作品の登場人物たちほど早口では話さない。
警察の早とちり捜査によって強盗殺人の容疑をかけられてしまった男が、恋人や弁護士に支えられて冤罪が証明されるまでを描いた作品です。
ああ、彼はなんと不憫なのでしょう。考えてもみてください。3年間離れ離れだった婚約者を迎えに行くために一生懸命働いて、やっと20万円もする車を購入し、晴れ晴れとした気持ちで地元の駅まで婚約者を迎えに行っている道中に厄介事に巻き込まれて強盗殺人犯人扱い。しかも自分が来るのを待っている婚約者がかわいいかわいい芦川いづみですよ?うっわー。なんて不憫なの。。
芦川いづみがまたかわいくて健気な恋人でねぇ・・。職場の送別会で恋人との馴れ初めを同僚から聞かれた時に、黙って惚気けるのですよ。彼のことを考えて黙ってぽーっとした間のあと突然「てへっ」って!♡あああ♡♡♡その瞬間、芦川いづみのかわいさに私は思わず頭を抱えてしまいました。あれはだめよ。可愛すぎるって。。メロメロメロン♡
彼女は彼が捕まった時も彼が無罪であることをひたすら信じて、弁護士事務所には彼女自ら赴いて直談判。弁護士費用を賄うために一生懸命働くのですね。うぅ、ほんまに健気。

そもそも芦川いづみと婚約者の運命を暗転させたのは、被害者のボケた婆さんです。芦川いづみを泣かせた婆さんを私は決して許しませんよっ!!!
あの婆さんの「犯人はこの男だ!」というボケた証言を信じてる警察も大概ですがね、、「あいつが犯人の情婦だ~」とか言って芦川いづみの顔を目がけて物を投げる村民の民度の低さも憤慨の域ですがね、、、、でもやっぱり私はあの芦川いづみの頬をつたう涙を見てもぽけーっとして謝りもしない婆さんを絶対に許せません!!あの婆さんさえボケたことを口走らなければ!あの婆さんは最早血の通った人間ではない!心がすっかりなくなってしまっている!

・・・・・とまぁかなり熱くなってしまいましたが、それだけ新藤兼人の脚本と中平康監督の演出にまんまとやられてしまいました。最後はまたあの可憐な笑顔が戻って彼の運転する車の助手席に乗ってくれて居たのでまぁいっか♪腹が立つほどのめり込める見応えのある作品でした。
あーや

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