あなぐらむ

爆発!暴走遊戯のあなぐらむのレビュー・感想・評価

爆発!暴走遊戯(1976年製作の映画)
3.6
石井輝男の凄い所は、どんなジャンルでも何だか知らないうちに映画にしてしまう、そのバイタリティだ。「ウェストサイド物語」を大胆に引用し、バイクの疾走にのみ生きる若者の屈託と暴力を描き出す。

岩城滉一より寧ろ話を引っ張るのは星正人。多岐川裕美、中島ゆたか(美しい)に芹明香と女優陣が華やか。更に悪の華として鹿沼えりがばんばん脱ぎまくり、星野じゅんも自慢のバイクテクを見せつける。ヒロイン映画の監督である事が、ここでも分かる。

意外にも豊富な特殊撮影で少しでも新しい画を見せようとする意欲、素人のレーサーを主役に据える荒業も、石井輝男には屁でもないのだろう。
暴走族映画という困難な仕事をアベレージ作として成立させている、稀有な例である。