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アクエリアスのTSのレビュー・感想・評価

アクエリアス(1986年製作の映画)
3.9
【獲物を狩る梟】82点
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監督:ミケーレ・ソアヴィ
製作国:イタリア
ジャンル:ホラー
収録時間:91分
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これはスプラッタ系ホラー映画としては最高峰の映画かもしれません。グロ描写は控えめですが、展開がスピーディであり且つ殺しのバリエーションが多くて興味深い。アクエリアスって、某飲料水のイメージしかありませんが、今作においては水槽や金魚鉢などの意味がある模様。なるほど、殺人鬼が徘徊するこの閉鎖された劇場こそが、出口のない水槽ということですか。

ホラーミュージカルの練習をしていた一団。練習中に足を痛めたアリシアは無断で近くの病院に足を踏み入れる。そこには16人も殺した殺人鬼が幽閉されていたのだが。。

近くにそんな殺人鬼が幽閉されているとかご都合主義すぎる。というか16人も人を殺しているのに管理が杜撰すぎて呆れてしまいます笑 そこはともかく、そんな狂った奴が脱走し、ミュージカルの練習をする彼らの前に立ちはだかるのです。なので、今作は犯人が誰かとかそういう推理をするものではなく、ひたすらその殺人鬼から逃げ続けるというのを見守る作品なのです。

この殺人鬼、本当に正気の沙汰ではありません。ミュージカルの練習をしている人たちの人数はそこそこなのに、一人であらゆる手を使って虐殺していこうとします。これがエイリアンなどのモンスターの立場ならば、わからないこともないのですが、狂っていても一人の人間。一対多なら勝ち目は薄いでしょう。ところが彼は人を殺すことに快楽を得ているのか、かなり計画的に着々と劇場にいる者を殺していくのです。ホラーミュージカルで使用されていたフクロウの面を被り、スタイリッシュに惨殺していく。不謹慎ですが、これがまたたまらない。

そして今作を高評価にした理由の一つに音楽があります。聞いてもらったらわかりますが、この音楽が本当にカッコよくて素晴らしい。緊張感抜群なのですが、見ているこちらも興奮するようなアップテンポな音楽。音楽により殺人鬼が動かされているようでもありました。

今作は『サスペリア』などを手がけたダリオ・アルジェントの愛弟子であるミケーレ・ソアヴィが監督をした作品ですが、はっきりいって『サスペリア』を凌駕している。師のダリオも真っ青になるくらいの完成度ではないでしょうか。理屈とか抜きに、ノリの良い音楽が流れる中、殺人鬼がスタイリッシュに惨殺を繰り返していくというシンプルな映画を見たい方は是非。
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