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シェルブールの雨傘のkuuのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
4.0
『シェルブールの雨傘』
原題Les parapluies de Cherbourg.
映倫区分G.
製作年1964年。上映時間91分。

互いに愛し合っていた傘屋の少女と修理工の若者が、戦争に引き裂かれ、別々の人生を歩くまでを描くミュージカル。
フランスの名匠ジャック・ドゥミ監督は語り調のセリフを排除っ!。
全てを歌で表現する大胆な歌曲形式を駆使して、心を強く揺さぶる感動ドラマを撮り上げた。
ヒロインはフランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。
作曲家ミシェル・ルグランのポップな楽曲と、歌って踊るドヌーヴの魅力が全開の悲恋物語に酔っちゃえ。

今作品の舞台は、1957年から1963年までのフランスのシェルブールという小さな町。
壁は、まだ全てがレンガとモルタル。手描きの鮮やかな色彩に覆われているようでした。
若き日のジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴはぁ可愛くてタマラン)は、母ちゃん(アンヌ・ヴァルノンはぁこの女優さんもなんて美しいんやろ、こないな親子アリかよっ)と共に、フランスのシェルブールで古風なアンブレラショップを営んでる。
ジュヌヴィエーヴと地元のガレージで働く自動車修理工のギイ・フーシェ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は深く愛し合っており、結婚を考えていたが、ギイがフランス軍に2年間入隊することになり、すべてを保留にせざるを得なくなる。。。

彼女は母ちゃんから、ギイがいない間にカサール(マルク・ミシェル)という名の金持ちの宝石商と結婚するよう迫られているが、二人の愛は別れを乗り切ることができるんやろかぁ。
ラブストーリーの真骨頂っすわ。

知る人ぞ知るフランスの女優フランソワーズ・ドルレアックの妹は今作品のカトリーヌ・ドヌーヴ。
姉ちゃんのフランソワーズ・ドルレアックは類まれな美しさを持ちながらも、わずか25歳でこの世を去ったけど、この妹のカトリーヌ・ドヌーヴは“フランス映画の至宝”とまで謳われ息を呑むほど美しさは、姉ちゃんも今作品をみたら草葉の陰で喜んでるやろなぁ。
今作品のカトリーヌ・ドヌーヴは19才から20才へと向かう年齢で、ホンマ美しい少女から大人の女性に、幼さもプチ見え隠れする舞い上がる蝶のよう。
今作品では他にも登場人物の個性が際立っていて、印象に残ります。
現代の基準からすっと、彼らの関係のやり取りは少し滑稽に感じなくはないが、これは50年代後半が舞台であることを思えばアリかな。
当時は、女子が野郎の胸にもたれかかり、顔で相手の手を愛おしそうに撫でる。猫のように撫でられながら。。。
なんてのが普通のことだった。。。と思いたい(想像、妄想の古き善き時代には)。
それでもこの映画の魅力は増していました。
撫でられることではなく、ジュヌヴィエーヴの可憐さが。
映画は4つの幕に分かれてて、各幕が終わると、映画は黒くなり、次の幕の説明があり、台詞の間にミュージカルナンバーを挟むのではなく、全ての台詞が歌われる。
台詞が全部歌われる映画なんて、今まで見た中では、ダーレン・リン・バウズマン監督が『saw-ソウ Ⅴ』を放り出して夢中になって作ったハードゴア・ロック・ミュージカル『レポ!ジェネティック・オペラ』(日本非公開やったかな)くらいしか記憶にない(無知やし他にも沢山あるやも知れませんが🙇‍♂️)。
ゴシック化したパリがミュージカルナンバーを歌ってるこっちの方がずっといい。
映画の話に戻ると、マイケル・ルグランはこれ以上ないほど美しく、ふさわしいオーケストラのスコアを作曲した。
この曲は映画の最初から最後までずっと流れてて、そして、それは多くの偉大なアーティストがカバーした美しい曲につながってます。
コニー・フランシスの『I will wait for you』は、最も心に響くなんて云っても決定版かな。
撮影は、シェルブールの魅力を見事にフィルムに変換しているし、シンプルで効果的なショットでした。
また、今作品で良かったショットは、発車する列車のショット。
列車のシーンは色んな映画で何度も見ているけど、こないななやり方は見た記憶がない。
大切な人と一緒に見て(最大限の効果を得るために)、映画が終わった後、その人の魂を見つめることをお勧めかな。
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