NAOKI

ノルウェイの森のNAOKIのレビュー・感想・評価

ノルウェイの森(2010年製作の映画)
3.7
例えば…それが小説であれ漫画であれ…それを原作として映画が作られ、そのレビューがこのフィルマに上がるとき、大勢の人が「原作未読」とか「原作のファンです」とか立ち位置を説明しますよね…

おれは個人的にあれは必要ないのではないか?…と思ってます。
特に小説と映画はまったく別のもので「原作が好きだから頭に来た」とか「原作が嫌いだから映画も乗れなかった」とか見るとなんか悲しくなります。どっちにも罪はないのにな…と思います。

そういう意味でこの「ノルウェイの森」は自分なりにそれを分析するのにうってつけの作品でした。原作は2回読んでいるし、その原型とも言える短編「螢」はおれの村上春樹ベストにしてもいいくらい好きな短編…
そしてこの映画を撮ったトラン・アン・ユン監督は「シクロ」で肝銘を受けた人でもある。

小説の強みは文章の力で読者の頭の中に映像を想像で作り出させること…そして映像の強みはそれを想像させずにガツンと見せられること…その戦いな訳です。

面白かったのは脚本…登場人物たちの台詞はほぼ原作通りでした…

ここで「読書」と「映画鑑賞」がこれほど違うのか?と驚かされました。

村上春樹の紡ぐ台詞は文章で読むとき大きな説得力を持ってあんなにスッと心に染み込んでくるのに映像で見せられるとぜんぜん違う…鼻持ちならない…なんてキザな言い回しだ…松山ケンイチら出演陣の好演がなければ不快にしか感じられないのではないか?

周りにこういう人たちがいたらおれはちょっと遠慮したいと思うかも…
小説では全然感じなかった感情です。

しかしこの映画には映像の強みがある。
観てる最初のうちは気づかなかったのですが一つ一つのシーンに不思議な雰囲気がある。
何か心が浮遊して不安になるような不思議な感覚…
途中で気がついた…
「フィックス(固定)が動いている」
フィックス(固定)の画面だと思って見ているシーンが非常にゆっくりとパンしていたりズームしていたりしている…

その独特なカメラワークが、何か色々起こるわりにはシンと静かな感じがする村上春樹ワールドをとてもよく伝えてくれてる気がしました。

さて最後にちょっと思い付いたバカな話をします。
このストーリー…読書の時は余り感じなかったのに…映画になると最初から最後までやたらと性的な行為や話ばかりだなぁと強く感じました。

AVみたいじゃないか…
いっそAVにしてしまえばいいのに…

もしAV版「ノルウェイの森」があってこのストーリーのままだとしたらあまりの衝撃に生涯ベストに入るんじゃないかな…いや冗談ではなく…

人間…油断しているときに出会う名作ほど衝撃を受けるものはないですから…😁💦
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