Jimmy

追跡のJimmyのレビュー・感想・評価

追跡(1962年製作の映画)
3.8
なかなか面白いブレイク・エドワーズ監督のサスペンス映画。
いきなり「女性が後ろから羽交い絞めにされる場面」からドキッ…とするツカミがナイス!
しかし、ブレイク・エドワーズ監督が、こんなハラハラさせるサスペンス映画を撮っていたとは、そちらの方が驚きかも…(笑)

舞台はサンフランシスコだが、地名が「ツイン・ピークス」という場所。犯人の名前がリンチであり、なぜかデヴィッド・リンチにまつわる物語のようであった(笑)
銀行勤務の女性ケリー・シャーウッド(リー・レミック)が自宅に帰ると突然男に後ろから羽交い絞めにされて「銀行から10万ドル盗み出さないと、妹トビーの命はない。また、警察などに連絡したら命はないぞ!」と脅されて、犯人は去る。
このケリーなる女性、犯人からこう言われたのに、FBIに電話する。しかし電話している後ろから再度犯人が現れて、「2度とこういうマネすると、本当に殺すぞ!」と脅される。
この犯人の描き方が上手くて、犯人の顔のあたりが暗闇で見えずに声しか聞こえないのだ。これは脅されているケリーと同じ状況であり、結構こわい。

一方、FBIは電話を放置するわけがなく、リプリー(グレン・フォード)を中心に姉妹に危害を加えさせずに犯人を逮捕しようと試みる。
このあたりの駆け引きも面白い。

途中、マネキンだらけの部屋がスリリングであり、フレームの上からマネキンの手がぶら下がっている場面などは、スタンリー・キューブリック監督の『非情の罠』を思い出させる。この映画は1962年作品で、キューブリック『非情の罠』は1955年なので、影響受けていたのかも知れない。

サンフランシスコでのロケも多く、野球場まで含めて、なかなか臨場感のある作品だった。

映画『追跡』というとラウォール・ウォルシュの西部劇サスペンスの方が有名かも知れないが、このブレイク・エドワーズ監督の都会型サスペンスも佳作であった。
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