良作。もともとトルコ系移民のドイツでの苦しみを描いた映画として紹介されていたので、覚悟してみたが、思ったよりも恋愛映画で見やすかった。前半はコメディの描写も多いことに加え、お互いの気持ちの揺れ動きもよくわかるように作り込まれていて、しかもそれが共感できる仕方で表れているのが良い。ハリウッドとかやっぱり展開が急すぎて受け入れられないことが多いのだけれど、この映画は比較的時間をかけてプロセスを描いていて、そのおかげで納得感がある。一方でゆっくりだけど面白すぎて次が気になってしまいかなりそわそわした。
後半はうーんって感じ。魂の再獲得と魂の解放。あそこで一線越えてたら変わってたのかな。自分の気持ちに気づいたときに（むしろ気づいたからこそ）事件が起きるのが辛い。だからこそ幸せになって欲しかったのだが。シベルの気持ちも途中までは良くわかるのだが、結局なんで再婚したのか僕には理解できませんでした。暴行された後のシベルについての情報が少なすぎて納得感が少なかったのが残念。むしろ、結末から逆算して組み立ててしまったので、合理性が損なわれたのでは？と思わざるを得ない。「こうなるだろう」というのが大事なのであって「こうしたい」が先立ってはならないのでは。
ドイツでのトルコ系移民の厳しさというより、トルコ（というよりイスラム？）の戒律に縛られた2人の苦しみ、という方が正確なのでは。
この二人は本当に幸せになって欲しかったのだが。本当の恋愛はこれくらい衝動的なんだろうけどね。メンヘラとの交際に憧れたわ。ロングヘアのシベルはほんと可愛すぎる。
