バランシーン

姑獲鳥の夏のバランシーンのレビュー・感想・評価

姑獲鳥の夏(2005年製作の映画)
3.5
基本、京極夏彦の大ファンです。
百鬼夜行シリーズも貪るように読んでます。
なので、いかに実相寺昭雄と言えども、公開時食指が伸びなかった。どうやったって、京極堂ファン大勢の支持を得るのは不可能だろうと。
で、20年近い時を経て初鑑賞だったのですが…。

敦ちゃんかわいい!これはイメージ以上に敦ちゃん(笑)
田中麗奈、抜群にハマってますね。いいな。
で、皆さんおっしゃってるほど、堤真一の京極堂も悪くない。確かにちょっと嬉々として喋ってるところもあって、愛想良すぎだけど、これくらいにしないとエンタメとして破綻しそうだし。
阿部寛の榎木津も良いですね。意味不明な大物感出てます。永瀬正敏の関口も確かにちょっと整いすぎてるけど、まあ主人公ですからね。

前半から実相寺アングルも満開で、画角と止めの画の素晴らしさだけで映画を構成できてるくらいの出来。実相寺昭雄最晩年の一作だと思うんですが、キラめきは健在ですね。
ただ、原作の衒学的な内容を、セリフ語りでディレクションしていくので、後半は完全に息切れ。少しチープな構図も目立つようになり、ちょっと失速でした。
ただ、全体として実相寺マジック衰えたりと言えども健在、キャストも言うほど悪くない、しかし映画としての満足度は…と考えた時に、やはりそうかと腑に落ちたのは原作のミステリーとしての脆弱さ。
原作は小説という座組の中で、京極夏彦一流のケレン味やテクニックが存分にこの部分をカバーして余りあったのだな、と痛感。映像化によって、本作の唯一にして最大の欠点が露呈した結果なのかなと。
でも、作品として満足できたし、原作世界をより豊かにしてくれる一助になると確信。京極堂ファンなら観て損はないと今は言い切れます。もうかなり時間経っちゃってますが(笑)
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