いんそむにあ

姑獲鳥の夏のいんそむにあのネタバレレビュー・内容・結末

姑獲鳥の夏(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作シリーズ17年ぶりの新作『鵼の碑』リリースが嬉しくなり、数年振りにWOWOWで視聴。

出版当時ミステリ界隈を騒然とさせた京極夏彦のデビュー作を映画化。昭和27年の東京、雑司が谷の産院を中心に起きた異様な事件の顛末が描かれる。

「見えているのに脳が認識しない」という、にわかには信じがたい仕掛けを成立させるために大量の知識とレトリックを駆使した原作と比較するとどうしても食い足りなさを感じてしまう。また、京極堂が重い腰を上げて憑物落としに赴くくだりや、最終局面において、超常現象の類いは無いにも関わらず、関口の前に姑獲鳥が「出た」と読み手に感じさせたような圧倒的な描写力も原作に軍配があがる。

とはいえ、ミステリ映画として最低限の面白さは確保されているので、あまり原作と比べずに観るのが良いと思う。

京極堂と話し込んでいる傷痍軍人(水木しげる)役で原作者の京極夏彦が登場したのは劇場で観たときも吹き出したのを思い出した。