けーはち

ランボー 最後の戦場のけーはちのレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
4.1
老境に差しかかりつつある戦士の哀切に満ちた自分探しの戦い。

★往年の英雄ランボーはタイのジャングルで蛇を獲り、ボート運転手として静かに暮らしていた。彼は「怒りのアフガン」を通り越した諦めモード。冷戦の頃反共、反ソ連で手を組んだイスラム戦士たちは今や飛行機を乗っ取ってアメリカにテロを仕掛けてくる。身を挺して市民たちを護ったところで、当の彼らには「人殺し」と罵られる。こんな時代に飽き飽きしていたのだろう。されど、ランボーに投げ出す選択肢はない。護ると決めたら、そう決めた自分のために敵を殺すのだ。覚悟を決めた戦士の暗闘は激しく切ない。

★ランボーというキャラクターはアメリカの“戦争”そのものである。元々ベトナム帰還兵のトラウマを描く反戦的な作風だが、2、3とド派手な反共ヒーローアクション大作となった。冷戦後の本作では戦いを離れ、ランボーは案内役として雇われたが、いつしかミャンマーの内紛に巻き込まれたボランティアの人たちをその類稀な武力で助けるようになる。

★兵士は「プライベート・ライアン」的なリアル路線によって手足や首がもげたり、グチャドロに血を流す描写が濃い。B級映画より遥かにカネのかかった暴力的なパワーのある映像で、B級テイスト(悪趣味さ)を増すばかり。戦いとはかくも皮肉だ。