かるまるこ

ランボー 最後の戦場のかるまるこのレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
3.6
【スラッシャー映画からモンド映画へ】
前作までとは打って変わってリアルなゴア描写満載。冒頭の【閲覧注意】なニュース映像、頭お花畑のキリスト教系NGO白人集団が発展途上国で酷い目に遭うプロットなどから、この作品が「モンド映画」(最近だと『グリーンインフェルノ』や『ミッドサマー』等)を志向していることは明らか。

当然、スラッシャー映画における憑依型「殺人鬼」としてのランボーの出番はなく、文字通り水先案内人として傍観者の役割を担うことになるのだが、多くを語らないランボーのそのどこか人を見下したようなまなざしこそが、この作品のテーマ、そしてランボー自身の人生を何より雄弁に物語っていたと思う。

白人から有色人種への…キリスト教から他宗教への…先進国から途上国への…権力者から少数民族への…そういった様々な強者から弱者への「見下し」や、自分がかつて散々行ってきたより強い者が力でねじ伏せて物事を解決ようなやり方が、いつまで経っても無くならないことに対する、それは諦めにも似たまなざしだったように思う。

最後にランボーがアリゾナの牧場に帰っていったのも、何か答えを見つけたからではなく、そんな世の中に対して諦めの境地に達したからかもしれない。
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